講演者: 石垣 春夫 氏
題 名: Fourier に学ぶ教師に必要な数学観
日 時: 2010年1月22日(金)18:15〜
場 所: 早稲田大学14号館7階717AB室
アブストラクト:
研究者としての数学者に借り物の数学観は不要である。何故なら数学者は自らの研究の中で、それぞれに数学観、数学的価値観などが培われるからである。更に言えば、借り物の数学観などを持てばもはや研究者ではなく評論家になってしまう。
しかし教育の場面ではそうはいかない。数学という科学の文化を後輩の人々にしっかりと伝承するには、客観的に整理された数学観を身につける必要があろう。それには、数学が科学の中でどのような役割を担っているかをしっかりと認識し、そうすることによってこの頃流行の安直な数学の有用性ではない価値観をもち、自信を持って教育に当たることが出来よう。
では、如何にして数学観を身に付けるかというと、例えばポアンカレは「科学と方法」の中で、数学的論理について触れて、数学的な論理は数学的事実を厳密に正確に表現するために必然的に造り上げられたものであり、先にロジック在りきではない、従って、教育上は論理が作られるプロセスを体感させなければならないといっている。しかし、全ての教師が現代数学と諸科学との関係に精通することは不可能に近い。そこでよく引き合いに出されるのがギリシャ数学であり、初等教育の場面で論理の大切さを認識させるには恰好の材料であろう。しかし、中等教育、高等教育の場面では必ずしも十分ではない。
そこで、科学、ことに自然科学が飛躍的な発展を遂げた18〜9世紀の数学に注目すると、そこには現代数学の多くの萌芽が見られ、しかも良くも悪くもあまりにも綺麗に整理される以前の数学が見られる。その一つとしてFourier全集にある "Theorie analiytique de La chaleur" の14ページに及ぶ数式抜きのDiscours Preliminaire を紹介しよう。これは、編者であるDarboux自身もその序文の中に紹介しているものである。
世話人
谷山 公規 taniyama+@+waseda.jp
石井 仁司 ishii+@+edu.waseda.ac.jp
大野 修一 ohno+@+nit.ac.jp
澤田 賢 kensan+@+waseda.jp
柴田 良弘 yshibata+@+waseda.jp
鈴木 晋一 sssuzuki+@+waseda.jp
羽鳥 理 hatori+@+math.sc.niigata-u.ac.jp
広中 由美子 hironaka+@+waseda.jp
星 明考 hoshi+@+rikkyo.ac.jp
渡邊 公夫 kimio+@+waseda.jp
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注:14号館は早稲田(本部)キャンパスにあります。
地図
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