講演者: 羽鳥 理 氏(新潟大学)
題 名: 異種構造間の親和性の話
日 時: 2010年12月10日(金)18:15〜19:15
場 所: 早稲田大学14号館7階717AB室
アブストラクト:
数学的な対象は複数の構造をもつことが多い。それらの間に仮定される相互作
用が見かけ上弱いものであったとしても、その実相は強い因果関係に支配されて
いるもののようである。ある構造の特徴を他の構造との関係で記述するというや
り方は、数学現象の表現方法として重用され、また関わる問題は多岐にわたる。
例えば、自然数の集合は和と積という異種の2つの構造を持っているが、奇妙に
も積を和で表すことができる。現代の日本(地球?)の小学生はこのことを用いて
掛け算を理解する。ユークリッド空間の間の線形写像は代数的性質のみで定義
され、そこには解析的な条件は表面上は出てこないが、この写像は自動的に連
続になる。時代をさかのぼると、F. Kleinはエルランゲン・プログラム(1872)の中
で、幾何学を特定の変換群の作用で不変な図形の性質を研究するものと考え、
その影響によって19世紀の幾何学は抽象的な群の研究とあわせて大きく発展し
たようである。階層の差を無視して、あるいは非常に一般的に解釈して同形式で
問われる問題をpreserver problemsといってよいのではないかと思っている。
広く見ると、方程式の解の一意性の問題も同種の問題として捕らえることが
できる。物理学では、例えばローレンツ変換で不変な性質を調べたりもする。
用語は別として、preserver problemsへの意識は特定の数学分野に固有のもの
ではないようである。
世話人
谷山 公規 taniyama+@+waseda.jp
石井 仁司 ishii+@+edu.waseda.ac.jp
大野 修一 ohno+@+nit.ac.jp
澤田 賢 kensan+@+waseda.jp
柴田 良弘 yshibata+@+waseda.jp
鈴木 晋一 sssuzuki+@+waseda.jp
羽鳥 理 hatori+@+math.sc.niigata-u.ac.jp
広中 由美子 hironaka+@+waseda.jp
星 明考 hoshi+@+rikkyo.ac.jp
渡邊 公夫 kimio+@+waseda.jp
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注:14号館は早稲田(本部)キャンパスにあります。
地図
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